最近、仙台のTRPG関係の書籍を取り扱っている店に行くと思うことがある。

 「あれ、ナイトウィザード3rd、在庫動いてない……」

 他の新刊がバシバシ売れていく中(そしてある程度内容がアレでも売れていく中)、ナイトウィザード関連商品だけやたらと在庫が動いていないように見える。
 鳴り物入りで発売した、おそらくFEAR社入魂の一作(なにせ副社長の肝いりだ)であろうNW3rdだが、さすがにこの状況を見ると不安になってくる。

 「もしかして売れてないのか…?」

 いや、気のせいならいい。それが一番幸せだ。書店の中の人でない自分には実際の売れ行きなんてわからない。
 けれども、もし。もし売れていないというのが事実だとしたら、一体何が問題なんだろうか。
 仮説の上に仮設を立てるのは非常によろしくないことを承知した上で、いくつか原因を考えてみたい。

 1)新規層への宣伝不足
 ナイトウィザードは歴史の長いタイトルである。1st→2ndの際にはアニメ化もしている。そんな中で、NW3は既存のファンだけにプッシュして新規層への宣伝が不十分だったんじゃないか?
 しかし、どうだろう。同じく老舗タイトルであるトーキョーN◎VA-Xの売れ行きは悪くないようだし、自分の感覚として同程度以上の広告が打たれていたように感じる。よってこの見方はちょっと微妙か。

 2)ルールブックの値段設定
 最近は単行本サイズの基本ルールブック(およそ1000円以下。NW3は3888円+税)も増えており、ユーザーが安価な値段帯のルールブックに慣れてしまったという考え方だ。
 しかし、これもまた疑問が残る。元にNW3より前に発売した同価格帯のルールブックはちゃんと売れているし、なにより最近ではクトゥルフの呼び声のような古くて高価なルールブックから参入するユーザーも多い。よって価格設定がそこまで致命的な問題であるとは考えにくい。

 3)菊池たけしの相対的なネームバリューの低下
 最早現在は数年前~数十年前の「人気リプレイ作家・人気リプレイPLは菊池たけし!」という状況でもなく、若手にいくぶんか道を譲っているのは間違いない。よってその作品も相対的にネームバリューが低下するだろう、というのもわからない話ではない。
 しかし、とはいえ同じ菊池たけしのアリアンロッド2Eは依然人気であるし、そこからの導入量を考えればそれほど激減するだろうか?という考えに至る。

 4)リプレイ供給の停滞
 近年、確かにNW3のリプレイは一時に比べ激減していた。菊池たけし氏のリソースはFEAR社内の大型プロジェクトである「アリアンロッド・サガ」シリーズに振り分けられ、新規層への導入の重要な要素であるリプレイの供給が滞り、コアユーザー向けであるファンブックの出版のみに限られていた。結果として、初心者が参入しづらいシステム、というイメージが固定してしまったのではないか。
 自分としては、これを第一要因として考えたい。

 5)「なんでもできる系システム」のイメージによる購買意欲の低下
 ここ数年で一気に増加した「なんでもできる」システムが増えた結果、一定量のパイを喰い合い、後発のNW3は競合してしまったのではないか、というのがひとつ。
 もう一つは、最近の展開を見ると「このシステムでしかできないこと」を掲げたシステムが相応の評価を得ている(例:PL同士の対立型シナリオを構成しやすいシノビガミ、ニコニコにおける動画映えするソード・ワールド2.0、巨大ロボを推したメタリックガーディアンなど)事実がある。つまり、NW3はユーザーの嗜好の変化についていけなかったのではないかという考え方だ。
 何でもできるシステムが増加した結果、「どれをやっても同じ感触」のゲームになっている問題はセブン=フォートレス・メビウスの失敗でわかっていたはずであるし、その競合の結果生き残ったゲームには「そのシステムでしかできない」要素が多くあったように思う。
 これが第二要因だろうか。


 自分としては思いつくのがこれぐらいになってしまうので、全体の総論としては「時流に沿わないシステムだった」ぐらいの話になってしまうのかな、とも思う。しかし、別要因で盛り返したSW2.0やダブルクロス3rdのこともあるので、これからの展開にはより期待して行きたい。

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